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6月議会一般質問を行いました

6月13日(木)
6月議会一般質問を行いました。
今回は、①小学校給食の牛乳取り扱いについて、②インクルーシブ教育について、③学校教員通報制度について、を取り上げました。

議事録を下記の通り添付します。


市民の声ちがさき 藤村ゆかり 通告に従い一般質問を行います。

1.小学校給食における牛乳の取り扱いについて

  1. 牛乳が飲めない児童への対応について

・令和6年4月から小学校給食における牛乳代金の減額を取り扱うこととした経緯と現時点での牛乳が飲めない児童の実績及びその対応について問う。

Q1.令和5年の定例会から継続して一般質問をしている「小学校給食における牛乳の取り扱いについて」ですが、令和6年4月から牛乳が飲めない児童に対して、「飲用(いんよう)牛乳の除去等」が開始されました。
以前から学校に牛乳アレルギーと申請していたけど、減額されずに牛乳代を支払い続けていたことに驚く保護者もいました。なぜ今まで対応がなされなかったのかと疑問に思います。
しかし、問題提起してから早期に実施していただいた事に、保護者の方から感謝の声をいただいています。
早期実施に至った経緯について、牛乳が飲めない児童のため、保護者の経費負担を考慮してのことだと理解していますが、これまでにどのような検討を重ねてこられたのか伺います。
牛乳代金の減額を開始して、牛乳が飲めないと申請された児童は何名いるのか伺います。
申請を受理された児童への提供について対応を伺います。

A1.議員からいただきました牛乳が飲めない児童への対応についてのご質問のうち、はじめに、小学校給食における牛乳代金の減額を取り扱うこととした経緯についてお答えいたします。 牛乳につきましては、小学生の学齢期において欠かすことのできない栄養素を持ち合わせており、また代替となる食材がない状況となっております。 しかしながら、牛乳に対してアレルギーのある子どもたちや、 飲むことにより体調を崩してしまう、いわゆる乳糖不耐症といった子どもたちに対しても一様に牛乳を提供していることについては、教育委員会としても課題と捉えておりました。 このことから、昨年度に各学校との丁寧な話し合いを行い、 アレルギーや乳糖不耐症といった子どもたちについては、今年度から、届出書に医師が作成した診断書もしくは学校生活 管理指導表を添付の上、各学校に提出いただくことで、牛乳代 相当額を減額することといたしました。 すでに今年度につきましては、市内全校を合わせて100件 程度の減額の届出書が提出されている状況であります。 届出書を受理した児童につきましては、職員間で情報を共有 し、翌月からの牛乳等の飲料の提供を停止し、牛乳代相当額の減額をしております。

Q2.牛乳は小学生の成長過程に欠かすことができない大事な栄養素であります。しかし、「小学校給食費 減額にかかる取り扱いについて」の市HPを確認すると、「茅ヶ崎市では令和6年度より食物アレルギー等の診断を受けており、飲用(いんよう)牛乳の除去等が必要な児童は手続きをしていただくことで給食費の月額を変更します。」とし、学校給食費 減額届出書には「1.食物アレルギー(牛乳・乳製品)のため」、「2.乳糖(にゅうとう)不耐症等 疾病その他の症状により、医師から牛乳飲用停止を指示されているため」と、牛乳に限定した内容になっています。しかし、説明の途中から「飲用牛乳」が「飲用牛乳等」と括りが変わり、最後の注意事項には「牛乳を停止した場合は牛乳だけではなく、ヨーグルト、豆乳等の提供も停止します」と、いうことです。
牛乳が飲めないので減額するという話が、いつの間にヨーグルトや豆乳やジュースまで提供を停止されてしまうのです。ヨーグルトは発酵乳とはいえ、乳製品なので提供停止は理解できますが、豆乳は成分が違います。
牛乳と豆乳の成分の違いについてどのような見解なのか伺います。

A2.200グラム当たりの栄養価につきまして、牛乳はエネルギー122キロカロリー、たんぱく質6.6グラム、炭水化物9. 6グラム、脂質7.6グラム、飽和脂肪酸4.66グラム、カ ルシウム220ミリグラム、また、豆乳はエネルギー88キロ カロリー、たんぱく質7.2グラム、炭水化物6.2グラム、 脂質4グラム、飽和脂肪酸0.64グラム、カルシウム30ミ リグラムとなっており、牛乳と豆乳につきましては、特にカルシウムの含有量に大きな違いが生じております。 児童におけるカルシウムの1日の摂取推奨量は645ミリグ ラムとなっております。家庭では不足しがちなカルシウムにつきましては、必要量の50パーセント以上を学校給食で満たすために、主に牛乳を飲料とし、カルシウム350ミリグラムを摂取できるように献立を立てているところでございます。

Q3.牛乳が飲めないと学校生活管理指導表や医師の診断書を提出しているのに、牛乳と豆乳が同列の扱いで提供を停止する理由について伺います。

A3.学校における給食は限られた時間の中で、安全・安心に提供 する必要があります。現在、様々なアレルギーのある児童の対 応につきましては、乳、卵等はトレーの色分けやお皿の柄を変えることなどで、一目でアレルギー対応食だと分かるように工夫し、給食を提供しているところです。これ以外にも除去対応 が困難な場合は、家庭からの代替食の持参をお願いしております。 現在の学校での対応状況を踏まえて、給食提供時の事故につながることを防ぐために、牛乳を飲まない選択をした児童には 豆乳も含めたすべての飲料の提供を行わないことといたしました。

Q4.給食提供時の事故につながることを防ぐための判断ということは理解できましたが、ヨーグルト、豆乳、ジュースまでもが提供停止になるのはやはり納得ができません。今回はこのような形でスタートするとしても、医師からの書類がなければ認めないとするのは、完璧ではないと考えます。今後もPDCAサイクルから、児童やその保護者の意見を聞いて検討し、改善する余地があると思いますが市の見解を伺います。

A4.現在、小学校給食におきましては、牛乳以外の飲料として、 豆乳、ヨーグルト、ジュースを年間あたり4回程度提供しております。 牛乳アレルギーの対象とならない飲料の提供につきましては、 栄養士部会や養護部会と協議を行いながら、改善の余地について検討を行ってまいります。

・他市の状況を見比べて、医師の診断書が必要と判断した点について問う。

Q1.ようやく小学校給食における牛乳代金の減額が開始されたと、喜びもつかの間、学校から家庭への通知は、「必要書類は、学校給食費 減額届出書(とどけでしょ)と学校生活管理指導表と医師の診断書」とありました。
なぜ保護者からの届出書の他に医師が作成する学校生活管理指導表と診断書がなければ受け付けてもらえないのでしょうか。近隣市の状況は把握していましたが、範囲を広げて県内32自治体に対して「学校給食における牛乳飲用に係る調査」を行いました。
結果、他市では既に実施されており、茅ヶ崎市だけが未実施だったという事がわかりました。
他にも医師の診断書が必要であるとしたうえでも「個別に対応を受け付ける」や「保護者からの届け出だけでも受け付ける」という自治体も多くありました。理由として医師の診断では特定できない場合や宗教的などイレギュラーなケースがあるからだそうです。
確かに牛乳は、家庭で不足しがちなカルシウム、欠かすことのできない栄養素だということは理解していますが、他市の状況を鑑みてもなぜ、「医師が作成する学校生活管理指導表や診断書の提出が必要」と線引きをされたのか伺います。

A1.続きまして、牛乳代金の減額につきまして、医師が作成した 診断書等を必要だとした点についてお答えいたします。 他自治体の牛乳代金の減額につきましては、医師が作成した 診断書や学校生活管理指導表の添付を求めず、保護者からの届出書により対応を行っている自治体も多いと認識しております。 牛乳は子どもたちにとって欠かすことのできない食品であり、 好みといった理由で牛乳を飲まないという状況は避けていかなければならないと考えております。 このような理由から、各学校への届出書の提出にあたっては、 どのような理由により牛乳の提供を中止すべきかを判断するため、かかりつけ医等からの診断書や学校生活管理指導表の添付をお願いすることといたしました。

Q2.国立病院機構 相模原病院の「食物アレルギー研究会」のHPでは、乳幼児に多い鶏卵(けいらん)、牛乳、小麦のアレルギーは3歳までに5割、小学校の就学までに7-8割が治るということです。私の家族がアレルギー検査を行った際、医師からは「アレルギー体質そのものを改善することはできない」といわれたことがあります。医師からの学校生活管理指導表や診断書は、「毎年提出する」ということですが、書類を作成するには検査含めて料金が発生します。医師による作成書類はアレルギーに変更があったときに提出をすればよいのではないでしょうか。毎年、保護者が作成する学校給食費 減額届出書の内容に変更があるかを確認して、変更がなければ保護者作成の書類だけで済むと考えますが、毎年医師による書類の提出が必要だとする市の見解を伺います。

A2.現在、牛乳以外の成分、たとえば卵、小麦、エビ、ごまなど に対するアレルギーにつきましても、かかりつけ医が作成した 学校生活管理指導表を毎年各学校に提出していただいておりま す。 学校におきましては、給食提供時の事故を防ぐため、提出された学校生活管理指導表に基づき、保護者、学校長もしくは教 頭、学級担当、養護教諭、栄養教諭もしくは栄養士での面談を 行っております。 牛乳も他のアレルギー食品と同様に扱ってまいりますが、学校生活管理指導表の毎年の提出の必要性につきましては、安全 性の確保を最優先し、各学校との協議を行ってまいります。

Q3.先ほどのご答弁の中で「牛乳は子どもたちにとって欠かすことのできない食品であり、好みといった理由で牛乳を飲まないという状況は避けていかなければならないと考えている」ということでしたが、私たちが小学生の時は、給食を残さず食べ、完食するまでは席から立つことが許されなかった時代もありましたが、今は給食が盛り付けられ、「いただきます」をした後、口をつける前なら食缶に戻しても良いとするクラスが多くあります。量が多くて食べきれない、好き嫌い…など理由は様々です。しかし、牛乳を飲まない児童数名に対して、各担任から「ひと口でいいから牛乳飲んで」と言われたそうです。勧められた児童は、この4月以降に牛乳アレルギーの診断書を提出し、担任や校長から謝罪があったそうです。児童も飲めない理由があったのに、好き嫌いやワガママと見ていたからこその指導であったのでしょうか。ほかの食材についてはそれほどでもないのに、どうして牛乳だけは「ひと口でいいから牛乳を飲んで」と執拗に先生方が声掛けをするのでしょうか市の見解を伺います。

A3.学校給食におきましては、好みといった理由で一定の食品を食べないということを避けるため、牛乳に限らず提供された給食につきましては、児童の状況に合わせて、少しずつでも食べることができるよう指導を行っていくものであると認識しております。

・今後の状況を踏まえて、見直すことの検討について問う。

Q1.アレルギーや乳糖不耐症であると医師に学校生活管理指導表や診断書を作成してもらえる児童もいますが、他市の事例も踏まえ、アレルギーではないが牛乳が飲めない子や宗教などの理由から、作成してもらえないケースも想定されます。
取り組みの先進事例は沢山あります。学校と協議されたうえでの判断であったとは思いますが、他市の状況も判断材料としたうえで、医師からの管理生活指導表や診断書を必要書類と限定せず、もう少し柔軟な対応策を検討していただくことはできないでしょうか。子どもが牛乳を飲むことができず受け付けられないのは、単に好き嫌いやワガママと見るのではなく、子どもの意見も尊重する配慮も必要ではないかと思います。令和6年4月に開始したばかりの取扱いではありますが、今後の見直しについてのお考えを伺います。

A1.次に、今後の状況を踏まえた見直しの検討についてお答えします。 今年度より開始いたしました牛乳代の減額につきましては、今後も各学校の状況を把握し、課題の共有を図るとともに、好みという理由ではなく、牛乳を飲むことができない子どもたちの保護者から担当課が意見を伺う機会を設けるなど、検討を行 ってまいります。

Q2.今後については検討を行うというご答弁ですが、具体的なスケジュールについて伺います。

A2.現在、牛乳代の減額の実施から約2か月が経過しているところでございますが、今後につきましても各学校と課題等を共有した上で、校長会や栄養士部会、養護部会をとおして協議を図り、必要な事項につきましては、可能な限り早期に検討を行ってまいります。

Q3.検討を行うという事は、今後は医師による学校生活管理表や診断書が提出できない児童の場合は、「個別対応や臨機応変に対応すること」も含まれるという解釈でよいのか伺います。

A3.今後につきましても各学校と課題等を共有した上で、牛乳代 減額に関する届出書の提出の仕方や児童、保護者に対する個別対応も含めて検討を行ってまいります。


2インクルーシブ教育について

  • 障がいのある児童・生徒の共生社会の取組について

Q1.特別支援学級のない学校へ進級したい児童生徒への進路相談について問う。
保護者の方々とお話をすると、「インクルーシブについて茅ヶ崎市の職員さんに尋ねると必ず「今、特別支援学級を32校全校設置に向けて取り組んでいます!」と口を揃えて言われますが、茅ヶ崎は箱モノを作ることをインクルーシブと言うのですか?」と、聞かれることが多々あります。
茅ヶ崎市は、数年前に特別支援学級の全校設置を希望する陳情を受け、取り組みが強化されましたが、全校設置までにはまだまだ時間がかかる見込みです。文部科学省の「特別支援教育の現状」についてというHPでは、平成24年から令和4年の10年間で義務教育段階の児童生徒数は1割減少する一方で、特別支援教育を受ける児童生徒数は倍増していると公表されていることから、いつまでも学区外の特別支援学級へ進級するよう勧めるのではなく、早急な設置が求められます。
しかし、障がい者と健常者を分けるのではなく、授業など学校生活を一緒に過ごす取り組みに変化し始めています。
県内では海老名市が、障がいの有無や程度などに関わらず同じ場所で共に学ぶ「フルインクルーシブ教育」の取り組みが始まっています。
現在、茅ヶ崎市では障がいのある幼児・児童・生徒に対して、教育支援としてその子の特性にあった就学相談を行っています。特別支援学級が未設置である学校へ進級したいと希望をされた場合、教育委員会ではどのような対応を行っているのか伺います。

・特別支援学級のない学校へ進級した児童生徒への合理的配慮を含めた対応について問う。

文部科学省の特別支援教育の在り方に関する委員会報告によると、合理的配慮は新しい概念であり、また障がい者基本法において、新たに「可能な限り障がい者である児童及び生徒が、障がい者でない児童及び生徒とともに教育を受けられるよう配慮しつつ規定されている」とあります。
進路相談を受けて、学区内に特別支援学級のない小中学校へ進学を希望する場合、児童生徒への合理的配慮を含めた対応について市の見解を伺います。

A1.共生社会の実現に向けたインクルーシブ教育の推進においては、全ての児童・生徒が可能な限り同じ場で共に学ぶ機会を保障するとともに、一人一人の教育的ニーズに応じたきめ細かな支援が行えるよう、多様な学びの場の一層の充実を図ることが 肝要であると認識しております。 本市では、保護者の希望に応じて、特別な支援を必要とする、 入学前の幼児や児童・生徒一人一人の適切な就学先の決定に向け、就学相談を行っております。相談においては、保護者や本人の意向を最大限に尊重し、丁寧に合意形成を図りながら、就 学先を決定しております。 また、就学後の支援として、継続して学びの場の検討を行う就学相談に加え、児童・生徒の学習支援と生活支援のためのふれあい補助員、学校看護介助員の派遣、車椅子で生活をしている児童・生徒の移動介助のための階段昇降機の貸出などの、個に応じた「合理的配慮」を行うとともに、学校生活の様子についても、学校からの報告や直接の確認などにより、把握に努めております。 今後も、児童・生徒のライフステージを見据え、一人一人の教育的ニーズに応じて柔軟に中・長期的な支援が行えるよう、 支援教育の理念の下、インクルーシブ教育を推進してまいります。


・特別支援学級のない学校へ進級したい児童生徒への進路相談について

Q2.健常者の児童生徒と異なり、時間をかけて本人や保護者が希望する学校へ入学や進級ができるか、学校環境の安全面など含めて様々な視点から就学相談をされるのだと思いますが、相談の過程について市の対応を伺います。

A2.就学相談における相談の過程においては、保護者との面談で 本人の様子を聞き取った上で、特別支援学校や特別支援学級、 通常の学級の見学・体験を御案内しております。 その後、保護者が相談内容を踏まえた多面的な視点から判断 を行えるよう、医師や学識経験者等の専門的な知見を有する委 員で構成される教育支援委員会の客観的な判断も含めた丁寧な 情報提供を心がけているところです。 加えて、就学予定校との入学前相談等を行うことで、保護者 及び本人の要望や思い、必要な支援等を学校と共有するなど、 安心して入学を迎えることができるよう努めております。

Q3.1度相談し、期間が開いていないにも関わらず再び就学相談を受けるには、改めて書類の提出を求められると保護者の方からの声をいただいています。特段、現状に変化がなければ、保護者の負担増につながると考えますが、都度、書類作成が必要になる点について市の見解を伺います。

A3.就学相談については、保護者の御要望に応じて、当該幼児、児童・生徒の適切な就学先について決定することを目的として、 相談を進めているところでございます。 保護者にお願いしている書類の提出については、一人一人の 教育的ニーズに応じて、より適切な就学先を決定するにあたり、 以前に相談を受けたことがある方であっても、相談の対象となる児童・生徒の成長等を踏まえた、その時点での状況を丁寧に 把握することが肝要であることから、新たにお願いをしております。

Q4.教育支援委員会の判断でも本人や保護者が納得されなかった場合、どこまで尊重をしながら就学先を決定されるのでしょうか市の見解を伺います。

A4.教育支援委員会においては、保護者との相談を基にして事務 局が作成する相談記録や、在籍園や在籍校が作成する教育支援 調査書及び発達検査の結果等からなる資料の情報に加え、未就学児については、委員が直接本人を観察した様子を踏まえ、就 学先についての客観的な判断を出しております。 教育支援委員会の判断に納得されなかった場合においては、 その後も保護者、本人の意向を伺いながら、就学可能な学びの 場への見学、体験、及び入学前相談を繰り返し行うなど、それぞれの就学先での可能な支援について丁寧に確認するなど、合 意形成を図った上で就学先を決定しております。


・特別支援学級のない学校へ進級した児童生徒への合理的配慮を含めた対応について

Q2.特別支援学級が設置されると、ふれあい補助員は2名増員となりますが、特別支援学級のない学校へ進級した場合の就学後の合理的配慮としてどのような支援をされるのか市の対応を伺います。

A2.各学校においては、全ての児童・生徒の活動のしやすさにつながるよう、教室環境の構造化や刺激量の調整、視覚及び聴覚 的支援の工夫など、「ユニバーサルデザイン」を意識した授業づくり等に努めているところです。 また、「ユニバーサルデザイン」を意識した支援だけでは、困り事が解消できない児童・生徒に対しては、個別の教育支援計画等を保護者と連携を図りながら作成する中で、一人一人の困り事に応じた個別学習、ルビ振りや拡大等の教材の工夫、書字 が苦手な児童・生徒に対しては、タブレットを活用した板書の記録などの支援について、共通理解を図っております。 個別の教育支援計画等に基づいた「合理的配慮」については、進学する際に、小学校から中学校に引き継いでおります。

Q3.個人差があり、ケースバイケースという事は承知していますが、児童生徒が学校で必要としている困り事に対して行われるケース会議の実施について詳細を伺います。

A3.各学校では、児童・生徒及び保護者の困り事を把握した際、 必要に応じて、その支援策について話し合うケース会議を実施 しております。 ケース会議の進め方は様々ですが、一例として、学校からの 要請に応じて、臨床心理士の資格を持った特別支援教育相談員 を派遣し、相談員が授業参観を行った上で、学級担任を中心と した関係教職員、及び御希望により保護者同席の上、「合理的配 慮」を含めた、本人への具体的な支援策について話し合うなど の例がございます。 また、保護者の要請に応じて、教職員と保護者によるケース 会議を適宜実施したり、目的に応じて、指導主事や関係機関の 職員が参加したりするケース会議もございます。

Q4.合理的配慮やケース会議などで、現場の教職員と保護者間での情報共有を(はか)った後、そこからすぐに学務課への情報共有をすることが重要であると考えます。教職員から保護者へ「情報は共有をしました」と連絡があり、後日窓口へ伺えば「それは聞いていません」との対応で、何度も説明を求められる事があるそうです。書類の提出もそうですが、情報確認など保護者の負担は計り知れません。学校教育指導課と学務課との連携における情報共有について、どのようなスケジュールで行われているのか伺います。

A4.学校教育指導課と学務課の連携につきましては、毎年、夏季 及び冬季において、次年度特別支援学級に在籍する予定の児 童・生徒数等について、情報共有しているところです。 また、特別支援学級に係る就学及び転出入に関することをはじめ、就学後の転籍に係る支援等についても十分な連携を図る 必要があることから、年間を通じて担当者が適宜情報共有を図っております。 今後も、関係各課との連携を密に行うことにより、よりよい支援体制の充実に努めてまいります。

Q5.現在、特別支援学級の全校設置は毎年1~2校ずつ進捗していますが、専門知識のある教職員配備など、児童生徒の受け入れ態勢を整えることはハード面以上に重要だと思います。人員体制のソフト面について現状を伺います。

A5.特別支援学級の全校設置に向けて、教員の支援教育に関する 知識や技能の習得をはじめ、インクルーシブ教育に対する意識 の醸成は、大変重要であることから、取組の一例として年間5 回実施しているインクルーシブ教育に関する研修会の中で、各 学校での取組の共有や、茅ケ崎支援学校の先生方を講師とした 授業づくりの講演会など、教員研修の充実に努めているところ です。 加えて、次年度特別支援学級を開設する学校については、準 備段階で指導主事が学校を訪問し、インクルーシブな学校づく りに向けた研修会を実施しております。 今後も、計画訪問や就学相談における学校訪問等、様々な機 会を通じて、各学校での支援体制の状況を把握するとともに、教員の資質・能力の向上に努めてまいります。

Q6.先日、茅ヶ崎寒川地区自閉症児・者保護者の会の総会で出席された教育長の挨拶では、「配慮を必要としている人への支援はもちろんですが、誰もが当事者意識をもってインクルーシブな共生社会を確定させる必要があると強く感じます」とお話されていました。
合理的配慮・インクルーシブ・共生社会・誰一人取り残さない…など様々な言葉をもって障がいのある児童生徒やその家族へ寄り添い、理解することは理想ですが、中には見解や意見の食い違いから保護者が学校や教育委員会に対して諦めや不信感を抱く(いだく)ことがあるようです。教員研修を何回実施したとしても、障がいに個性があるため教職員が現場で対応できるまで、経験や時間がかかります。当事者意識をもってインクルーシブな共生社会を目指すためには具体的にどうあるべきだとお考えなのか市の見解を伺います。

A6.共生社会の構築に向けて、学校教育においては全ての児童・生徒が、障がいのある・無しに関わらず、互いを認め合える望ましい人間関係を築くとともに、社会性を養い、将来、あらゆる他者と協働しながら積極的に社会参画していこうとする態度を育めるよう、様々な機会を通じて、インクルーシブ教育に係 る会議や研修を行うなど、教職員の意識の醸成に取り組むとともに、保護者や地域にも意識の共有を図るための発信に努めております。 このような取組を進める中で、県インクルーシブ教育推進課が実施する、教職員向けの研修会や、児童・生徒向けの学習会 等に多数の依頼を受けていること、都市政策課が実施する心の バリアフリー教室の開催を希望する学校が増えていることに加え、民生委員児童委員協議会からの要請により、担当の指導主 事がインクルーシブ教育について説明する機会をいただいていることなどから、教職員及び地域協力者の方々のインクルーシブ教育への意識の高まりを実感しているところでございます。 今後も、学校と地域のつながりを大切にしながら、教職員及び児童・生徒、保護者、地域の方々が、それぞれ当事者意識を高め共有する機会を創出できるよう、誰もが生きやすく、暮らしやすい共生社会の構築に向けたインクルーシブ教育の推進に努めてまいります。


3教職員通報制度について

  • 制度を利用した際の対応について

・通報を受けてからの流れについて問う。

Q1.平成25年4月より自治基本条例第24条及び、茅ヶ崎市立 小中学校教員通報制度に関する要綱(ようこう)に基づき教職員通報制度の運用が始まりました。
学校運営に関して法令に反した、もしくは違反するおそれがある行為、不当な行為について教職員窓口へ通報することができるというものです。
教職員がこれらの行為に対して通報をした場合、教育(きょういく)委員会はどのような対応となるのか、通報を受けてからの流れについて伺います。

A1.通報を受けてからの流れについてお答えいたします。
教職員通報制度については、教職員からの学校の運営に関する違法または不当な行為の事実に関する通報の処理について、本市の要綱にて具体的に対応する事項などを定め、運用しています。通報の方法は、必要事項を記載した通報書を、通報窓口である学務課まで直接提出するか、または、封書や電子メールにて提出することとしています。通報時対応の一連の流れとしては、通報窓口は、通報者に対して通報内容を聴取し、趣旨を確認いたします。次に、通報の受理または不受理を決定した後に、その決定結果を通報者に対して遅滞なく通知いたします。続いて、通報を調査するため、教職員通報委員会を設置し、通報窓口は速やかに通報書について委員会に報告を行います。委員会は、通報について、調査の必要があると認めたときは、直ちに調査を開始いたします。また、委員会は、通報者に対して、調査を行う場合はその旨及び着手の時期を、通報を受理した日から 20 日以内に通知いたします。
委員会にて調査をした後に、この調査結果については、教育長に報告を行い、この調査結果を通報者に通知することとしています。なお、教育長は、違法な事実等が存在するとの調査結果報告を受けたときは、関連行政機関の任命権者とともに違法行為等を是正し、再発防止のために必要な措置を講じることとしています。

Q2.通報制度が制定されてから現在までに通報件数は何件だったのか伺います。

A2.報制度については、要綱設置にて平成 25 年度より開始し ており、平成 25年度から令和 6年度現在までの実績については、 合計で 4 件でございます。

Q3.教職員に対して通報制度についての説明など周知はどのようにされているのか伺います。

A3.教職員通報制度における教職員への具体的な周知については、 要綱制定時に各小中学校へ周知を図ったほか、市ホームページ に専用のページを作成するなど、周知に努めております。

Q4.今までの事例から、通報内容が確認されなかった場合、教育委員会の対応について伺います。

A4.調査の結果、通報内容において違法な事実等の存在が認められなかった際には、通報委員会は、通報者が通知を希望しない 場合を除いて、調査の結果を通知いたします。この通知の際に、 結果だけでなく、経過やその理由なども併せて丁寧に説明することが必要であるものと認識しております。 なお、違法な事実等の存在が認められなかった場合においても、そこで教育委員会としての対応を終了とするのではなく、 必要に応じて、通報者と一緒に解決方法を模索するなど、可能 な限り、通報者に寄り添った対応を行ってまいります。

Q5.反対に通報内容が確認され、事が公になった場合、教育委員会の対応について伺います。
事が公になった場合での、学校内における児童生徒や保護者 への具体的な説明の有無や内容などについては、原則として学校長が判断を行い、必要に応じて実施することとなります。 なお、その場合においては、教育委員会として、児童生徒へ の影響を最小限にするため、学校長の求めに応じて、学校への 助言を行うなどのサポートをいたします。 また、こうした場合においては、職員体制の検討が必要であることも想定されることから、学校の職員体制についても、最大限にバックアップしてまいります。

・通報者を保護する仕組みについて問う。

Q1.通報制度があっても、法令違反や不当といった深刻な内容であるために勇気や覚悟が必要で、そう簡単に通報できるものではないと思います。
市HPを確認すると、①通報制度があること、②通報の連絡先、③通報に必要な書式、と3つの簡単な情報があるだけです。深刻な内容であることから、通報した後の具体的な流れはもちろんのこと、同僚への相談も容易ではなく、職場に居づらくならないか、通報したが受理されなかった場合、逆に自分の立場が悪くならないか…など、手続きをしようにも、その後のリスクを考えると様々な不安がよぎると思います。
市HPの限られた情報の中では知り得ることができなかったため、通報した後、その教職員をどのように保護されるのか伺います。

A1.教育総務部長、ご質問いただきました、通報者を保護する仕組みについてお答えいたします。通報制度運用の基となる法律や要綱においては、通報者の氏名は秘密にしなければならないこととしており、また、通報したことで通報者に不利益にならないようにしなければならないこととされています。また、同要綱においては、受理した通報は、速やかに通報委員会に報告するものとしておりますが、通報者から特に依頼がない限りは、通報者の氏名は委員会に報告しないこととしています。これは、教育長を始め、教育委員会で構成されます通報委員会の委員である部長や課長に対しましても通報者の氏名は秘密のものとして取り扱うこととなります。なお、教育長は、違法な事実等が存在するとの調査結果報告を受けたときは、再発を防止するために必要な措置を講じるものとしておりますが、この措置を講じた場合は、その内容を、
利害関係の方達の秘密、信用、名誉及びプライバシー等に配慮し、委員会に通知しなければならないこととしています。

Q2.同僚が法令違反など犯していても、リスクを負うならこのまま無関心でいればいいと、やり過ごしてしまう事も想定されますが、学校は、教職員の職場であると同時に大事な教育現場でもあるため、児童生徒へ与える影響を考えると、必要な制度であると思います。これまでいただいたご答弁からは終始丁寧な対応やサポートがあり安心して利用できるという印象ですが、私が相談を受けた実例とは少し様子が違うようです。法を犯した同僚の教職員について教育委員会へ問い合わせをされました。その教職員は通報制度を知らず、管理職へその事実を相談したのですが、「証拠となるものを見せに来るなら来てもいい、そして、個人で警察に行くなら止めることはしない」という回答だったそうです。これは教育委員会で丁寧な対応という事でしょうか。
教育委員会として双方の教職員の立場を保護する点からも、相談を受けた時点で通報制度に切り替えるよう勧めることもできたのではないでしょうか。
教職員はその後、個人の判断で警察へ通報し、同僚教職員は家宅捜索され、休職を経て退職されたということです。市も公に処分を公表していることから、明らかに犯罪行為の報告であったにも関わらず、教育委員会からは後日、連絡をした教職員への聞き取りでは、県の担当者は普通に聴取であったけど、市の教育委員会からは、通報までの情報収集についてを責められるようなものだったということでした。
教職員のための制度であるにも関わらず、教職員がその制度を知らず、教育委員会も制度を説明せず、通報者が責められるのであれば、この制度は「絵にかいた餅」ではなでしょうか。
これまで質問に対していただいたご答弁からも、提出書面は窓口へ直接、または封書や電子メールでも受け付けられるとはHPからも知り得ることはできませんでしたし、周知についても、「小中学校に対して周知」「市のHPに専用ページを作成した」ということからも、確実に教職員までには行き届いていないことが容易に想像できます。
この通報制度は、自治基本条例のための制度ではなく、もちろん学校のための制度でもなく、「教職員のための制度」であるはずです。
改めて教職員の視点から、この制度の周知を含めた運用・促進に対して検討していただく必要があると思いますが、市の見解を伺い、私の一般質問を終わりたいと思います。

A2.教職員通報制度の利用促進の検討についてお答えいたします。 法律や要綱などにおいて、通報者の保護は担保されておりま すが、本通報制度を利用する上で、通報者が相当の不安や悩み、 覚悟を持って通報を行うことを、我々教育委員会といたしましても十分に認識し、通報者に寄り添った制度の運用をしなければならないと考えております。 また、いざという時に、制度利用のハードルが高いものであってはならず、更には、教職員がためらうことなく通報することができる環境づくりを日頃より推進していくことが重要であると認識しております。 なお、制度の周知については、要綱制定から相当の年月が経 過していることや社会情勢及び学校の環境も年々変化していることなどを踏まえ、今後も、より丁寧でわかりやすく、かつ、 効果的な周知を図るとともに、教職員が安心して働くことがで きる環境づくりに努めてまいります。