横須賀視察-終活情報登録伝達事業(わたしの終活登録)-
全国でも先駆けて取り組む横須賀市の「終活支援」を視察
7月31日、会派「市民の声ちがさき」で横須賀市を視察しました。今回学ばせていただいたのは、「終活情報登録伝達事業(わたしの終活登録)」と「エンディングプラン・サポート事業」です。
横須賀市は、全国でも先駆けて行政による終活支援に取り組んできた自治体です。担当者様からは、事業の仕組みだけではなく、導入に至ったきっかけや背景、当時どのような課題があったのか、そして実際に事業を進める中で見えてきた課題や工夫について、約2時間にわたり丁寧にご説明いただきました。
長時間の視察でしたが、制度そのものはもちろん、担当者様からいただいた一つひとつの言葉にも多くの学びがあり、とても参考になりました。
「終活」の背景にある孤立の問題
「終活」というと、お墓や葬儀、遺言、エンディングノートなど、自分が亡くなった後のために準備をすることを思い浮かべる方も多いと思います。しかし、今回お話を伺って感じたのは、横須賀市の取組は単なる「死後の手続きを支援する事業」ではないということでした。
背景にあるのは、単身世帯の増加や家族関係、連絡手段の変化などによって、亡くなった後に遺体や遺骨を引き取る方がいない、あるいは親族がいても連絡が取れないといった問題です。
横須賀市には、こうした問題に以前から向き合ってきた歴史があります。港町として発展してきた地域の背景もあり、身寄りのない方が亡くなった際の対応や、無縁の方の納骨などに行政として長く関わってきたとのことでした。
その中で見えてきたのが、「亡くなってから対応するだけでよいのだろうか」という課題です。
亡くなった時に誰ともつながっていないということは、生きている間にも社会とのつながりが薄くなっていた可能性があります。だからこそ、亡くなった後だけではなく、生きている間からつながっておく。この考え方が横須賀市の終活支援の根底にあることを学びました。
身寄りのない方を支える「エンディングプラン・サポート事業」
「エンディングプラン・サポート事業」は、身寄りがなく、経済的にも余裕がなく、自分が亡くなった後の火葬や納骨などに不安を抱えている方を対象とした事業です。
対象となる方には、生前に葬儀や納骨について準備をしていただき、必要となる費用もあらかじめ示します。利用される方には、それぞれの状況に応じて必要な費用を負担していただきます。
ここで印象的だったのは、「市がすべてを担う」という制度にしていないことです。
自治体の予算にも職員の人数にも限りがあります。これから支援を必要とする方が増えていくことを考えれば、行政だけですべてを抱え込む仕組みでは長く続けることができません。
本人ができることは本人が行い、民間事業者が担えることは協力してもらう。そして行政だからこそできる部分を行政が担う。それぞれが役割を持つことで、持続できる仕組みをつくっています。
一方で、費用や死後の準備を整えたら行政の役割が終わるわけではありません。
事業を利用した後も定期的に本人の状況を確認し、認知症の進行や健康状態、生活状況などに変化がないかを見守ります。その方が亡くなるまでの間、社会から分断されることなく、できる限り自立した生活を続けられるよう支えていきます。
そして最期を迎えた時には、生前に確認していた本人の意思に沿って送り出す。
亡くなった後の準備をする制度でありながら、実際には「その人が最期までどう生きるか」を支えていることが、とても印象に残りました。
「家族がいるから大丈夫」とは限らない
もう一つの「終活情報登録伝達事業(わたしの終活登録)」は、年齢や所得に関係なく利用できる制度です。
緊急連絡先、かかりつけ医、葬儀社、お墓、遺言書など、いざという時に必要になる情報について、あらかじめ市に登録しておきます。
この制度が必要になった背景には、私たちの連絡手段の変化もあります。
現在は、家族や知人の連絡先をスマートフォンの中だけに保存している方も多くいます。例えば一人で外出している時に突然倒れ、救急搬送され、本人に意識がなく、スマートフォンもロックされていたら、病院や警察が家族に連絡を取れない場合があります。
つまり、今の時代は「身寄りのない人」だけが孤立するわけではありません。家族がいても、その家族につながる手段がなければ、いざという時に連絡できないことがあります。
家族のあり方だけでなく、社会や生活様式が変わっている中で、それに合わせて行政の仕組みも変えていく必要があることを感じました。
エンディングノートそのものは預からない
「わたしの終活登録」で特に参考になったのが、市がすべての情報を抱え込まないという考え方です。
例えば、本人がエンディングノートを書いていても、その存在を本人しか知らなければ、いざという時に見つけてもらえないかもしれません。一方で、エンディングノートそのものを行政が預かり、すべての個人情報を管理するとなれば、行政側にも大きな負担が生じます。
そこで横須賀市が登録するのは、すべての内容ではなく、必要な情報につながるための「情報のありか」です。
「エンディングノートはここにある」「遺言書はこの方に預けている」「葬儀についてはこの事業者と契約している」「お墓はここにある」といった情報を登録し、必要な時に市が宛先となる方や関係者につなぎます。
本人が元気なうちに準備してきたことや、その方の意思が、いざという時に途切れてしまわないようにする仕組みです。
すべてを抱え込まない。しかし、その方に最後まで寄り添う。
今回のお話を伺う中で、この考え方がとても印象に残りました。
限られた予算だからこそ「つなぐ」
今回もう一つ参考になったのが、限られた予算の中で事業を継続するための考え方です。
新しい行政サービスを始めるとなると、「新たな予算が必要」「人員を増やさなければできない」という話になりがちです。しかし横須賀市では、地元の葬儀事業者、生活困窮者支援、成年後見制度、市民による支援など、すでにある制度や地域の力を組み合わせながら事業をつくってきました。
支援を必要とする方が増えていけば、市職員だけですべての方を継続して訪問することにも限界があります。そこで市民による訪問や見守りも取り入れ、行政だけで抱えない仕組みにしています。
普段からその方と関わり、暮らしや考え方を知っている人がいる。将来、認知症などによって成年後見制度が必要になった場合にも、それまでの本人を知っている人とのつながりを生かすことができます。
福祉、生活困窮者支援、成年後見、終活を別々に考えるのではなく、一人の人生に沿ってつないでいく。
新しいものを一からつくるだけではなく、「今ある制度や人をどうつなげればできるのか」という視点は、終活支援だけではなく、これからの行政サービス全体を考える上でも参考になると思います。
身寄りがなくても安心して最期を迎えられるように
これまで家族や親族が担ってきたことを、家族だけに委ねることが難しくなってきています。単身世帯が増え、家族のあり方、人とのつながり方も変化しています。
私は、身寄りのない方も最期まで安心して暮らし、安心して人生を終えることができるように、市として何ができるのかを考え、対応していく時代になっていると思います。
それは「行政が何でもやってあげる」ということではありません。
本人ができることは本人が行う。必要な費用については、負担できる方には負担していただく。民間にできることは民間と協力し、地域の力を借りられるところは地域とつながる。その上で、行政だからこそできる部分を担い、必要な人や制度をつないでいく。
そして、亡くなるまでの間は社会から分断されることなく、自立した生活を続けられるように支える。最期を迎えた時には、その方が元気なうちに示した意思を大切にして送り出す。
「身寄りがないから仕方がない」で終わらせない。
一人で暮らしていても、頼れる家族が近くにいなくても、このまちで暮らし、最期までその人の意思や尊厳が大切にされる。これからの自治体には、こうした安心を支える役割も求められていくのではないでしょうか。
茅ヶ崎市でも取り組めるように
もちろん、横須賀市の制度をそのまま茅ヶ崎市に導入すればよいとは考えていません。横須賀市と茅ヶ崎市では、地域の状況も、これまで行政が積み重ねてきた取組も異なります。
まずは、茅ヶ崎市で身寄りのない方に関する相談がどの程度あるのか、亡くなった後に市が対応しているケースがどのくらいあるのか、福祉や高齢者支援の現場ではどのような課題を抱えているのかを把握する必要があります。
その上で、「情報のありか」を登録する仕組みが茅ヶ崎市にも必要なのか。地域包括支援センターや社会福祉協議会、成年後見制度、生活困窮者支援、民間事業者など、すでにある仕組みをどうつなげることができるのか。
今回、横須賀市の担当者様からいただいた説明や言葉を持ち帰り、茅ヶ崎市でも取り組むことができるよう、今後提案していきたいと思います。
市民の方の一言から始まった視察
そして今回の視察には、もう一つ大切なことがありました。
きっかけは、会派の山口議員が市民の方から「こういう取組をしている市があるんだけど……」と教えていただいたことでした。
そこから会派で調べ、実際に横須賀市を訪ね、担当者様から直接お話を伺うところまでつながりました。
市民の皆さんが日々の暮らしの中で感じていること、「他のまちではこんなことをやっているよ」「茅ヶ崎でもできないかな」と教えてくださること。その一つひとつに、まちを良くするヒントがあります。
声を聞いて終わるのではなく、調べる。必要であれば現地へ行き、直接話を聞く。そして茅ヶ崎市の現状と照らし合わせ、実現できるのかを考え、政策として提案する。
今回の視察は、まさにその一つの形になりました。
約2時間にわたる長丁場でしたが、事業の内容だけではなく、導入に至ったきっかけや背景、現場で直面してきた課題、それをどう乗り越えながら現在の仕組みをつくってきたのかまで伺うことができ、とても参考になりました。
横須賀市の担当者様、長時間にわたり丁寧にご説明いただき、ありがとうございました。
今回学んだことを視察だけで終わらせず、茅ヶ崎市の現状をしっかりと確認し、必要な形に置き換えながら、提案につなげていきたいと思います。
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茅ヶ崎のまちのこと、市議会のこと、みなさんの暮らしの中でのお気づきのことなど、
何かありましたらお気軽にお問い合わせください。
内容をしっかりと拝見し、お返事させていただきます。
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