長崎市視察-まちなかプロジェクト-
長崎市「まちなかプロジェクト」から考えました
まちを歩いていて、「ここにもう少し人が集まったらいいのに」「この場所、もっと活かせないかな」「せっかく良いお店や活動があるのに、知られていないのはもったいない」
そんなことを感じたことはないでしょうか。
まちづくりというと、大きな施設を造ったり、道路を整備したり、多額の予算をかけたりするイメージがあります。
もちろん、必要な整備にはしっかりと予算を使うことが大切です。一方で、今回、長崎市を視察して感じたのは、大きな予算をかけなくても、地域にあるものや人の力をつなぐことで、まちは変えていけるということでした。
8月5日、会派の行政視察で長崎市を訪れ、「まちなかプロジェクト」について学ばせていただきました。今回は、長崎市がどのように市民の声を聞き、行政がそれを受け止め、実際のまちづくりにつなげているのかについて整理します。
長崎市「まちなかプロジェクト」とは?
長崎市の「まちなかプロジェクト」は、歴史や文化、伝統を活かしながら、まちなかの魅力を高め、人が歩き、巡り、楽しめるまちをつくっていく取り組みです。
特徴的なのは、最初から行政だけで計画をつくったのではないことです。
平成18年から市民参加型の議論を重ね、「自分たちのまちを、これからどうしていきたいのか」を市民と一緒に考えてきました。平成20年に基本方針を策定し、平成25年から本格的にプロジェクトをスタートしています。
根底にある考え方は、「市民が主役」です。
行政が決めたものを市民に示すのではなく、市民と一緒にまちの将来を考え、それを形にしていく。このスタート地点が、とても大切だと感じました。
5つのエリア、それぞれの魅力を活かす
長崎市では、まちなかを5つのエリアに分け、それぞれが持つ歴史、文化、商業、景観などの特色を活かしたまちづくりを進めています。
すべての地域を同じように整備するわけではありません。その地域に暮らしている人がいて、そこで商売をしている人がいて、その場所だからこそ残っている歴史や文化があります。それぞれの良さを活かしながら地域ごとの魅力を高め、その場所だけで終わらせず、歩いて次の場所へ行きたくなるようにつないでいく。
つまり、魅力ある場所を「点」で終わらせず、「線」でつなぎ、まちなか全体を回遊してもらう考え方です。茅ヶ崎でも、駅、商店街、公園、海、地域のお店、市民活動など、魅力ある場所はたくさんあります。それぞれをどうつないでいくか。この視点は、とても参考になると思いました。
行政は「全部やる」のではなく「つなぐ」
もう一つ、大変参考になったのが行政の役割です。長崎市では、行政がすべてを企画し、すべてに予算をつけ、すべてを実施するという形ではありません。
市民、商店街、企業などが主体となって動き、行政はその活動を支えます。使える補助制度につなぐ。活動する人と人をつなぐ。地域と企業をつなぐ。必要に応じて行政内部の担当部署同士をつなぐ。行政が、いわば「つなぎ役」を担っています。
事業費についても、市の予算だけに頼るのではなく、国などの補助金や民間の力を活用しながら進めています。だからといって、市民や民間に任せきりにするわけではありません。行政だからできる調整や支援を行い、市民だからできること、民間だからできることを活かす。この関係を長い時間をかけて築いてきたことが伝わってきました。
実際にまちなかを歩いて分かったこと
座学で説明を受けた後、約1時間にわたり、担当職員の皆さんと一緒に実際のまちなかを歩きました。暑い中、一つひとつの場所で立ち止まりながら、「なぜ、ここをこうしたのか」「以前はどのような計画だったのか」「地域の皆さんとどのように話をしてきたのか」など、現場で丁寧に説明していただきました。
やはり、資料を見るだけでは分からないことがあります。現地に立って初めて、「だから、この形になったんだ」と分かることがたくさんありました。
計画道路を見直し、市民のための生活道路へ
特に印象に残った一つが、道路整備です。
もともと計画されていた道路を、そのまま計画どおりに整備するのではなく見直し、市民が日常的に利用する生活道路として活用する方向へ転換した場所がありました。
一度決まった行政計画を変更することは簡単ではありません。それでも、「計画されているから造る」のではなく、「今、この地域に本当に必要なものは何なのか」を考える。
行政にとって計画を実行することは大切です。しかし、計画を実現すること自体が目的ではありません。その先にある、市民の暮らしを良くすることが本来の目的です。当たり前のことのようですが、とても大切な視点だと感じました。
トイレを新設せず、地域のお店に協力してもらう
まちなかを多くの人に歩いてもらうためには、トイレも必要になります。「トイレが足りない」となれば、新しい公衆トイレを整備することを考えるかもしれません。しかし、新設すれば建設費がかかり、その後も清掃、修繕、維持管理の費用が必要です。
長崎市では、地域のお店などに協力していただき、トイレを利用できるようにする「おもてなしトイレ」という取り組みを進めています。
新しく造るのではなく、今あるものを活かす。行政にとっては新設費や維持管理費を抑えることができます。お店にとっては、人が立ち寄るきっかけにもなります。そして、地域全体で訪れた人を迎えることにもつながります。
「必要だから新しく造る」という発想だけではなく、「すでにあるものを使えないだろうか」と考える。これからの行政運営に、とても大切な視点だと思います。
街並みを整える。でも全部を直す必要はない
歴史的な街並みを守る取り組みにも工夫がありました。街並みの雰囲気を整えるために建物を改修するとしても、建物全体を改修すれば、費用も所有者の負担も大きくなります。
そこで、通りから見える1階部分を中心に改修する。建物全体を変えなくても、歩いている人から見える街並みには統一感が生まれます。
限られた予算の中で、「どこまで整備すれば、目的を達成できるのか」を考えているのだと思います。何でも100%整備するのではなく、必要な部分に絞る。その分、より多くの場所で取り組むことができます。
ここにも、茅ヶ崎市として参考にできる考え方があると感じました。
「予算がないからできない」で終わらせない
今回の視察を通して、特に考えさせられたのが、大きな予算をかけなくてもできるまちづくりがあるということです。
もちろん、行政として必要なところには、きちんと予算を使わなければなりません。防災、教育、福祉、道路、公共施設など、市民の命や暮らしに必要なものには、必要な予算を確保する。これは行政の責任です。
一方で、すべての課題に対して、新しい施設を造る、新しい事業をつくる、市がすべて負担する、という方法だけで対応することもできません。
今あるものを活かせないか。補助制度を使えないか。民間の力を借りられないか。市民活動同士をつなげられないか。企業と地域をつなげられないか。行政内部の部署同士が一緒に動けないか。
「予算がないからできません」で終わるのではなく、「では、どうしたらできるのか」を考える。そこに行政の知恵や工夫が必要なのだと思います。
茅ヶ崎にも、すでにたくさんの力があります
茅ヶ崎にも、地域のために活動している方がたくさんいます。子どもの居場所づくり、高齢者の交流、防災活動、環境活動、地域のお祭り、商店街のイベントなど、一つひとつを見ると本当に様々な活動があります。
一方で、それぞれの活動が「点」のままになっていることもあります。「あの活動と、この活動をつなげたらどうだろう」「この企業と地域が一緒にできないだろうか」「この市民活動に行政の制度を活用できないだろうか」。
行政が新しい事業を一から始めなくても、すでに地域にある力を見つけ、それをつなぎ、動きやすくすることはできます。私は、これも行政の大切な仕事だと考えています。
私が大切だと思うこと
今回、一番強く感じたのは、私が掲げている「市民の声を予算と実行へ。」という考え方が、長崎市では実際のまちづくりとして形になっていたことです。
市民の声を聞く。「自分たちのまちをどうしたいのか」を一緒に考える。アイデアが出たら、「できる」「できない」だけで判断しない。どうしたらできるのかを考える。
必要なところには予算を使う。補助制度を使う。民間の力を借りる。行政が人や制度をつなぐ。そして、実行する。
声を聞くところから、実行までがつながっています。
私は、市民参加とは単に意見を聞くことだけではないと思っています。市民から聞いた声を、行政がどう受け止めたのか。その後、どう動いたのか。何が実現できたのか。できなかったのであれば、なぜできなかったのか。
そこまで市民に返して初めて、「自分たちも、このまちを一緒につくっている」と感じてもらえるのではないでしょうか。
「自分たちのまちをつくるのは楽しい」
今回、担当者の方がお話しされていた言葉も、とても心に残りました。
これまで事業を進める中では、もちろん様々な苦労があったそうです。それでも、「自分たちのまちを、市民の目線でつくっていくことは、とても楽しい」と話されていました。
私は、この「楽しい」という言葉がとても印象に残りました。
まちづくりというと、「課題をどう解決するか」「予算をどう確保するか」という話になりがちです。もちろん、それも必要です。
でも本来は、「ここをもう少し良くしたい」「こんなことができたらいい」「だったら、やってみよう」。そんなところから始まるものでもあると思います。
自分たちの声やアイデアで、いつもの道が変わる。空いていた場所に人が集まる。地域のお店が協力してくれる。少しずつ、まちが変わっていく。
その変化を見ることができれば、「次はこんなことをやってみよう」という次の動きも生まれます。行政にとっても、市民にとっても、「自分たちのまちを一緒につくる」という感覚は、とても大切なのだと思いました。
まとめ
長崎市と茅ヶ崎市では、歴史もまちの成り立ちも異なります。長崎市の制度を、そのまま茅ヶ崎市に取り入れればよいというものではありません。
しかし、その考え方には学ぶことがたくさんあります。市民の声を聞くこと。地域にすでにあるものを活かすこと。市民、企業、行政をつなぐこと。限られた予算だからこそ、知恵を使うこと。そして、できるものから実行していくこと。
茅ヶ崎にも、海、商店街、公園、地域のお祭り、多くの市民活動があります。そして、「茅ヶ崎をもっと良くしたい」と動いている方がたくさんいます。その力をもっとつなげることができれば、まだできることはあると思います。
市民の声が、声のままで終わらない。「言っても変わらない」から、「声を届けたら、まちが動いた」へ。私は、そんな市政を目指しています。
今回の長崎市の視察では、私が掲げる「市民の声を予算と実行へ。」の先に、どんなまちづくりがあるのかを実際の現場で見ることができました。
説明だけでなく、暑い中、約1時間にわたり一緒にまちなかを歩き、一つひとつ丁寧に説明してくださった長崎市の担当職員の皆様、本当にありがとうございました。
視察を受けて、茅ヶ崎なら何ができるのか。一つずつ考え、提案し、実行につなげていきたいと思います。
メッセージ受付中!
茅ヶ崎のまちのこと、市議会のこと、みなさんの暮らしの中でのお気づきのことなど、
何かありましたらお気軽にお問い合わせください。
内容をしっかりと拝見し、お返事させていただきます。
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