第九回 「できない」で終わらせない市役所へ
「できない」で終わらせない市役所へ。
― 市民の困りごとから、一緒に方法を考える。―
市民の皆さんからお話を伺っていると、市役所に相談したときの、こんな声を聞くことがあります。
「お金がないからできないと言われた」
「市では対応できないと言われた」
「順番待ちなので待ってくださいと言われた」
「冷たくあしらわれたように感じた」
「話を聞いてもらえなかった」
もちろん、市役所にもできることと、できないことがあります。
法律や制度によって市では対応できないこともありますし、予算には限りがあります。公平性を考えれば、順番を待っていただかなければならないこともあります。
私は、それ自体が問題だとは思っていません。
大切なのは、そこで話を終わらせないことです。
「市ではできません」であれば、なぜできないのか。
県や国ならできないのか。
別の制度は使えないのか。
ほかの部署と一緒に考えられないのか。
「予算がありません」であれば、本当に必要なことであれば次の予算につなげられないか。
「順番を待ってください」であれば、なぜ待つ必要があるのか、その間にできることはないのか。
そこまで考え、説明することが大切だと思います。
「ないからできない」ではなく、知恵を出す
私はこれまで、行政視察でさまざまな自治体の取り組みを見てきました。
そこで感じるのは、どの自治体にも、何でもできるほど十分なお金があるわけではないということです。
それでも、今ある施設を活用する。
市民や地域、企業と協力する。
やり方を変える。
既存の制度を組み合わせる。
なければ、ないなりに知恵とアイデアを出して取り組んでいます。
もちろん、必要なところには、きちんと予算をつけなければなりません。
しかし、
「お金がないからできない」ではなく、
「限られた中で、何ができるだろう」と考える。
私は、そんな市役所であってほしいと思っています。
市民の暮らしは、部署ごとに分かれていない
例えば、高齢になって外出が難しくなった方の困りごとは、交通だけの問題ではありません。
病院へ行けるか。
買い物ができるか。
人と会えるか。
地域とのつながりを持ち続けられるか。
交通、福祉、健康、地域づくりなど、いくつもの課題がつながっています。
子どもの通学路の安全も同じです。
道路、学校、警察、地域など、さまざまな人や組織が関係します。
だから、
「それは、うちの担当ではありません」で終わるのではなく、
「では、どことつながれば前に進められるのか」を考える。
市民の皆さんに、市役所の組織に合わせてもらうのではなく、市役所の側が、市民の困りごとを起点に動く。
私は、その姿勢が必要だと思っています。
できないことも、きちんと伝える
何でも「できます」と言うことが、良い市役所だとは思いません。
できることは動く。
すぐにできないことは、その理由を伝える。
市だけではできないことは、県や国、地域、企業などと連携できないか考える。
それでもできないことは、なぜできないのかをきちんと説明する。
そして、市民からいただいた声を、
受け止める。
つなぐ。
現場を見る。
課題を整理する。
知恵を出す。
必要なら予算や制度につなげる。
実行する。
その結果を市民に返す。
ここまでつながって、初めて「声が届いた」と言えるのではないでしょうか。
市役所には、多くの経験や専門知識を持った職員がいます。
その力を生かし、部署を越えて知恵を出し合い、挑戦できる市役所にする。
それは、市役所だけに求めるのではなく、市政を預かる立場がつくっていかなければならない環境だと私は考えています。
「できない」で終わらせない。
「どうしたらできるのか」を一緒に考える。
声が届き、暮らしが動く茅ヶ崎へ。
声を、予算と実行へ。
これが、私が目指す市役所の姿です。

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